2020年2月2日日曜日

Match Preview: 2020/02/02 Arsenal vs Burnley (A)

 2月2日のバーンリー戦に向けたプレビュー記事です。バーンリーの前節の試合のレビュー記事も書いていますので併せてご覧ください。

Match Report: 2020/01/23 Manchester United vs Burnley

バーンリーの現在の状況


@BurnleyOfficial

リーグ戦での現在順位: 13位
勝ち点 30:勝ち9 引き分け3 負け12
得点28 失点38

 現在13位、アーセナルとは勝ち点が同じなので、今日アーセナルが負けてしまうと順位を抜かれてしまうことになる。バーンリーのここ3試合の対戦相手はチェルシー、レスター、マンチェスター・ユナイテッドとなっており強豪との対戦が続いている。このうち、レスター、マンチェスター・ユナイテッドには勝利しており現在2連勝中、波に乗っている。ただ、今シーズンを通して対ビッグ6相手に結果を残せているわけではなく、対ビッグ6相手の成績は8戦で1勝7敗と圧倒的に負け越していて、失点数は23失点と1試合あたり平均で3失点くらいはしていることになる。アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド以外にはいずれも3失点を喫している。

whoscored.com

 上のデータの様に、1試合あたりのロングボールの数はリーグ全体で2位の数字で、その一方でショートパスの数はリーグで2番目に少なくなっている。詳しくは後で確認するが、非常に大胆に振り切った形でチームのコンセプトを貫いているのが分かる。

understat.com

 他に気になるデータとしては上の数字で、前半31分から45分の失点数が飛びぬけて多い。被シュート数はそれほど多いわけでもないので、この時間帯にチーム全体としてリズムをつかめていないというよりかは、何か決定的なミスをしてしまったり、ということが多いのではないかと推測する。

直近の試合のメンバー


whoscored.com

 前節のマンチェスター・ユナイテッド戦のメンバーは上の様になっている。442はシーズンを通して一貫して採用しているフォーメーションで、稀に4411を採用することもある。先発から4411を試したのはマンチェスター・シティ戦、先月のチェルシー戦のみで、いずれもトップ下にHendrickを採用している。ただ、それぞれ4失点、3失点しておりいずれも負けている。好調の442をわざわざ崩して結果の出ていない4411をアーセナル戦で使ってくるとは考えにくいだろうから、アーセナル戦も442でくることになるだろう。

understat.com

怪我人、移籍等情報


 前節のみ怪我で欠場していたBardsleyは復帰するが、GudmundssonとBarnesは復帰できない(burnleyfootballclub.com)。特にチーム2位の得点数のBarnesの欠場は大きいと思われるが、彼の代わりに出場しているRodriguezは前節、リーグの月間最優秀ゴールにノミネートされる素晴らしいゴールを決めている(premierleague.com)。


 また、バーンリーは今冬の移籍市場でマンチェスター・シティからHenri Ogunby、ブリストル・シティからJosh Brownhillの2人の選手を獲得している(premierleague.com)。Ogunbyはまだ19歳なのでスカッドに入るかどうかも不明だが、Brownhillはブリストル・シティでキャプテンを務めていた24歳の選手、中盤の真ん中(442のCMFや4231のDMF、352のCMF)や右サイド(442の右SH)でプレーしていた様である。背番号8を与えられて即戦力として期待されているようで、アーセナル戦でプレーを観ることができるかもしれない。

メンバー考察


 メンバーは基本的に固定で、Barnesが怪我しているのでCFの一角はRodriguezが務めることになる。また、シーズン序盤は右SBをLowtonが務めることも多かったようだが、最近はBardsleyが先発することが多いようである。また、右SHにLennonが使われることもあるようだが、それは最近で言えば4411を採用したチェルシー戦で、その時はトップ下にHendrickが使われている。442採用でHendrickが起用できる状態であればLennonを使う必要性はほとんどないだろう。よってメンバー予想は下の通り。


バーンリーの戦い方


whoscored.com

 まずは攻撃から。マンチェスター・ユナイテッド戦では右サイドからの攻撃が13%であるのに対して、61%の攻撃が左サイドからとなっており、これは少し極端かもしれないが、シーズンを通しても左サイドからの攻撃は41%、右サイドからは32%となっているので、攻撃が左サイドに偏りがちであるという傾向はあるようだ(whoscored.com)。左サイドからの攻撃時に要となるのが左SHのMcNeilと左SBのTaylorで下の表を見てもチームの攻撃に大きく貢献していることが分かると思う。この2人にCHのCorkが絡んでくる場面というのが多い。

premierleague.com

 マンチェスター・ユナイテッド戦でみられた攻撃の形は下の様なものである。右SBのLowtonからCFのRodriguezにロングボールを蹴り、RodriguezがおさめたところでMcNeilへパス。ボールを受けたMcNeilはサイドへドリブルで運び、オーバーラップをしてきたTaylorにパスを出した。この様にオーバーラップしてきたSBへパスを出しセンタリング、それをツートップが競る、というのが攻撃の基本的な形になる。そのために守備時にRodriguezは1人で前に残っていることが多い。アーセナルのCBの選手にはいつも以上に空中戦での強さ、集中力が求められることになる。


 攻撃の形に左右で少し違いはあって、左SHのMcNeilは両サイドへ顔を出しており、おそらくSBへパスを供給する役として、そしてドリブル等で攻撃にアクセントや創造性を加える役としてMcNeilは存在している。右SHのHendricksは高めに位置どることも多く、サイドでボールを受けたり、センタリングに競ったり、こぼれ球を拾ったりとよりボールを受ける側としての役割が目立つ。なので、McNeil等が右サイドに流れてきていない場合は、右サイドの攻撃は早めにアーリークロスをSBの選手があげたりとシンプルなものになりがちである。また、CMFのWestwoodとCorkは攻撃時には縦関係になることが多く、カウンターへのケアや後方からのパス交換の起点になるのは下がり目に位置どるWestwoodで、一方のCorkはより高い位置で攻撃に参加する。Corkが左サイドの外のスペースへ走る場面もみられ、下のヒートマップでも明らかな様に、CorkはWestwoodよりもより行動範囲が広く、機動力のある選手と言えるだろう。

sofascore.com

 次に守備時の形であるが、バーンリーはフォーメーション図通り、442で2枚のブロックで構えることになる。ツートップの2人は相手のDMFへのパスコースを切るような位置に立つが、下の図の様にGKやCBへ積極的にプレスをかけるような場面もみられて、その場合はバーンリーのCMFの2人が積極的に押し上げて相手のツーボランチをみることになる。ブロックを敷く形なのでもとよりブロック間で受けるタイプの選手への対応は難しいところがあるのだが、その上に、中盤のCMFの2人はツートップの動きに合わせて相手トップ下(下の図だとPereira)を気にしつつ相手DMFもみなくてはいけなくなっている。その結果、下の図の場面ではブロック間でトップ下の選手がボールを自由に受ける場面を作られてしまっている。


 上の図の様にトップ下の選手への対応が難しいことはバーンリー側としても百も承知であるので、これを防ぐためにはブロック間の距離をコンパクトに保つことが重要になってくる。そのためには、ツートップの2人が最前線へプレスをかけにいっても陣形が乱れないようにブロックを保つということも選択肢には入ってくる。ただ、そういった対応をしたためにピンチを招いたのが下の場面である。ツートップの2人はCBへプレスをかけにいったままであるが、バーンリーのCMFの2人は相手のSHとトップ下の選手(MataとPereira)が気になって相手DMF(Matic)へのプレスをかけるのが遅れてしまっている。そこで余裕もってボールを持つことができた相手DMFは右サイドでフリーになっている右SB(Wan-Bissaka)へ展開、折り返しのクロスでバーンリーは大きなピンチを迎えた。ブロックを保つことに専念するあまり、DMFやCBの選手の持ち上がりに対するプレスが甘くなってしまう時がある、ということになる。


 上の様な場面をつくられまいと相手SBのWan-Bissakaに対し、左SHのMcNeilがマンマーク気味に対応した際に招いたピンチが下の場面である。高い位置をとるWan-Bissakaにマンマークで対応してしまうと、下の様に中盤のブロックが崩れてしまう。これによりサイドを持ち上がる相手CB(Jones)対応できる選手がおらず、CMFのCorkがでていかざるをえなくなってしまっている。そのために中盤に大きなスペースを生み出してしまっており、こういったスペースをブロック間で受けるのが上手い選手が利用すると一気にピンチに繋がることになる。右SBが高い位置をとることでMcNeilがマンマーク気味に対応せざるを得なくなれば、バーンリーの攻撃の要となるMcNeilを低い位置にピン留することができ、アーセナルとしては脅威を減らすことができるようになる。


 これまでに説明してきたようにバーンリーにも明確な弱点はあり、ユナイテッドはMata、Pereira、Martialといった選手がブロック間で受ける場面も多くチャンスも作り出していたが、結局バーンリーの守備を崩せなかった。その時に不足していたのは前線へ飛び出す選手で、出し手となる選手が多く、受け手やフィニッシャーとなる選手がそもそも少なく、それに加えて上手くいかせていなかった印象だ。またそれに加えて、GKのPopeやバーンリーのDFの選手が高い集中力でシュートをことごとく跳ね返していたというのもある。特にGKのPopeは現在好調で、1月は4試合でPKストップ1つを含む23のセーブを記録しており、PFAの月間最優秀選手の候補にも入っている。1試合あたり6本のセーブを記録しているので、単純な計算で言うと、1ゴールを決めるためには最低でも枠内に7本はシュートを飛ばす必要がある。いつも以上に、フィニッシュの精度は求めたいところである。

@BurnleyOfficial

 ちなみにPopeに関しては彼個人に焦点を当てて分析されている記事がタイミングよくあがっている。とても分かりやすく彼の凄みを解説されているのでおススメです。

ニックポープのGK技術|ReneNoric|note

アーセナルはどう戦うべきか


 上で書いたことをまとめると下の様になる。

①攻撃の要の左SHのMcNeilは左右にボールを受けに動くのでマークの受け渡しに注意
②バーンリーは左サイドからの攻撃が主になるのでアーセナルの右SHの選手には運動量が求められる
③CMFのCorkはサイドを流れたりと高い位置をとることもあるので見失わないように注意
④McNeilの位置を下げるためにも右SBには高い位置で仕事をできる選手を置きたい
➄CBやDMFの持ち上がりで相手のCMFを上手く釣り出し、ブロック間で受ける選手を積極的に利用する
⑥ブロック間で受ける選手と、飛び出したりと動きを生み出せてフィニッシャーとなる選手のバランスの良い起用
⑦CBの選手にはいつも以上に空中戦への警戒を求める

 これらをみると分かるように、今回の試合のキーポイントは(アーセナルから見て)右サイドである。攻守ともに、ここでの駆け引きが試合を決定づけると言えるだろう。プレミアリーグ公式のプレビュー記事でも同様のことが指摘されている。この記事ではPepeの起用が示唆されているが、個人的には、上の⑥を考慮するとPepeよりもMartinelliがいいのではないかと思ている。また、よりオーバーラップで脅威を与えることができるので右SBはBellerinがいいと思う。メンバー予想は下の通り。


 基本的にはユナイテッドが作り出していたようなトップ下の選手等がブロック間で受ける状況を生み出せる方向に誘導していけば、Ozilがどうにかしてくれるに違いない。問題は相手のCMFを釣り出すような工夫をどうするのか、というところで、Xhakaを左に落として相手の積極的なプレスを誘うのか、もしくはLuiz、Xhaka、Torreira(もしくはBellerinを中央に寄せて)が持ち上がり相手のブロックに乱れを誘発するように自発的に働きかけるのか、もしくは別の手段を用意するのか、Artetaの采配に要注目である。Kolasinacも復帰できるかもしれず(@charles_watts)、Luiz、Aubameyangも出場停止から帰ってくる。冬の移籍市場で獲得したMariにもチャンスがあると嬉しい(Soaresは怪我しているらしいので)。