2020年1月30日木曜日

Match Report: 2020/01/23 Manchester United vs Burnley

 2月2日のバーンリー戦に向けて、今回はマンチェスター・ユナイテッド対バーンリーのレビュー記事です。結果は2-0でバーンリーの勝利。両チームのメンバーは下の通り。


 今シーズン、ホームでこれまでわずか1敗(クリスタルパレス戦)とオールドトラフォードでの圧倒的な強さを誇るユナイテッド、バーンリーに対してもホームで過去20戦無敗となっている(manutd.com)。一方のバーンリーは前節、今シーズン好調のレスターを倒しており勢いがある。実はオールドトラフォードでも直近3試合は引き分けており、4度目の正直の勝利を狙った一戦となっている。

@BurnleyOfficial

主なスタッツ


premierleague.com

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 ユナイテッドのボール保持率は72.2%、タッチ数は約2倍、パス数は倍以上の差がついており、スタッツを見ても明らかな様に、終始ユナイテッドが攻める展開。バーンリーが流れの中で崩せたような場面はほとんどなかった。23分、37分とフリーキックでの競り合いに勝ちチャンスを作っており、そのうち37分のシーンは得点に結びついている。バーンリーが先制した後はバーンリーがブロックをより強固にする方向に切り替え、ユナイテッドはより崩すのが難しい状況に。攻めあぐねている間に、自陣でのスローインを拾われRodriguezのスーパーゴールで追加点を許してしまった。バーンリーの枠内シュートは結局、得点シーンの2本のみで、一方の攻め続けたユナイテッドは24本ものシュートを放ったが無得点に終わってしまった。

バーンリーの守備


 まずは無得点に終わってしまったユナイテッドの攻撃からみていきたい。下の図は前半2分の場面である。ユナイテッドの攻撃時の両チームの基本的な陣形は下の様な形になっていて、バーンリーは442に近い形で構える。ツートップの2人はユナイテッドの2枚のDMFへのパスコースを切るような位置に立つが、下の図の様にGKやCBへ積極的にプレスをかけるような場面もみられて、その場合はバーンリーのCMFの2人が積極的に押し上げてユナイテッドのツーボランチをみることになる。ブロックを敷く形なのでもとよりブロック間で受けるPereiraやMataの様なタイプの選手への対応は難しいところがあるのだが、その上に、中盤のCMFの2人は前線の動きに合わせてPereiraを気にしつつ相手DMFもみなくてはいけなくなっている。当然、ユナイテッドとしてもこの試合の狙いどころはここになっていて、浮きがちなPereira、もしくはMataにいかにブロック間でボールを渡すことができるのか、というのが課題となる。下の図の場面ではDe Geaが浮き球でバーンリーの中盤のブロックを越す形でPereiraにボールを供給できている。32分や43分の場面でもPereiraがブロック間で自由にボールを持つことでチャンスをつくれている。


 Pereiraへの対応が難しいことはバーンリー側としても百も承知であるので、これを防ぐためにはブロック間の距離をコンパクトに保つことが重要になってくる。そのためには、ツートップの2人が最前線へプレスをかけにいっても陣形が乱れないようにブロックを保つということも選択肢には入ってくる。ただ、そういった対応をしたためにピンチを招いたのが下の27分の場面である。ツートップの2人はCBへプレスをかけにいったままであるが、バーンリーのCMFの2人はMataとPereiraが気になってMaticへのプレスをかけるのが遅れてしまっている。そこで余裕もってボールを持つことができたMaticは右サイドでフリーになっているWan-Bissakaへ展開、折り返しのクロスでユナイテッドは大きなチャンスを迎えた。


 上の場面で注目すべき点はもう1つあって、この日、バーンリーがWan-Bissakaへの対応に苦慮していたことがわかる。バーンリーのディフェンスの決まり事として、相手のSBへプレスをかける役割はSHの選手が担うことになっているのだが、この日、右SHが中央で受けたがるMataなこともあり、ユナイテッドの右SBのWan-Bissakaは常に高い位置をとることが可能であった。バーンリーの左SHのMcNeilからすると、常にWan-Bissakaにマンマークするような状況になるとブロックを乱し、チームとしての陣形が大きく崩れてしまう。例えば下の場面は前半40分の場面であるが、McNeilがWan-Bissakaについていくことでブロックが崩れ、持ち上がる相手CBのJonesに対してCMFのCorkがでていき、そのために中盤に大きなスペースを生み出してしまっている。こういったスペースをPereiraやMataが利用すると一気にピンチに繋がることになる。またそもそも、McNeilがWan-Bissakaにマークについたところで、31分などの様に、一対一ではMcNeilが負けて交わされてしまうこともあった。一方、ユナイテッドの左サイドのついて言うと左SBのWilliamsはあまり攻撃参加に積極的ではない印象で、試合中にMaticにポジションを上げるように促されている場面もあった。Jamesが中央寄りのポジションにいることも多かっただけに、Williamsが適切なタイミングでオーバーラップできていれば右サイドからの攻撃も活性化できていたのではないかと思う。


 上に挙げただけでもいくつかバーンリーの穴を突いた攻めはみせているし、他にもMaticをCBの間に落としてビルドアップに参加させることで意図的に相手CMFを釣り出そうという工夫や、Mata、Pereira、Jamesがポジションを入れ替え流動的に動くといった工夫も見せていた前半のユナイテッド。それではなぜ失点に結びつかなかったのか。下の43分の場面で見えた問題点は、後方の選手の押し上げのスピード不足と、前線の選手の動きの少なさである。この場面でも、ボールを奪い素早くFredに繋げることで、バーンリーの中盤のブロックの乱れを突いて中央のスペースをMartialやMataが利用した攻めを見せていて、狙い通りの展開と言える。ただ、Martialがボールを受けた時点では4対4で数的に同数であったはずが、WilliamsやDMFの選手の押し上げがなく、一方で早い戻りのバーンリーに数的優位をつくられ崩すことができずに、結局はPereiraがドリブルで持ち込んでシュートをペナルティエリア外から打つだけで終わってしまった。またこの場面でもそうであるが、Mataは左サイドに開いて中央にスペースをつくるような動きを見せているが、他の選手は動きに乏しい。これは、飛び出すというよりも足元で受けたがる選手を前線に多く配置してしまっているスカッドの偏りの影響かもしれない。


 上記の様な問題点を解決するために後半開始と同時に投入されたのがGreenwoodで、Pereiraに代えてGreenwoodを投入、右にいたMataを中央にもってきて、Greenwoodは右SHになっている。Greenwood投入の狙いが出ていた場面が下の62分の場面である。ユナイテッドが左サイドに人数を集めているのが一目瞭然であると思う。相手のブロックを間延びさせるのではなく、右SHのGreenwoodやトップ下のMataが左サイドに来ることで人数を集め、ブロックやマークの乱れを誘い、それにより細かいパスで崩していこうというのが狙いになる。この場面以外にも73分や77分の場面などでもこのように左サイドに人数を集めて攻めており、実際にチャンスに持ち込めているのであるが、基本的にはシュートはペナルティエリアの外からで終わっている。このためにユナイテッドの右サイドの攻撃は基本的にWan-Bissakaに一任されることになっており、59分の場面などの様に、Wan-Bissakaに対しMcNielとTaylorの2人が同時に対応するような場面もいくつかみられた。前半にWan-BissakaとMcNeilが一対一になった際にMcNeilが交わされてしまうシーンがいくつかあったバーンリーとしては、ユナイテッドの右サイドの人数が減ったことは懸念材料が1つ減ったと言えると思う。これに加えて、Greenwoodを投入したことで、Pereiraの様な出し手タイプの選手を減らし、受け手となる選手、シュートを打てる選手を増やし、動きに乏しかった前線の活性化を図ったようにも見える。その後もSawやLingardを投入することで一層攻勢に出たユナイテッドだったが、結局は無得点のまま終了となった。


バーンリーの攻撃


 バーンリーの得点シーンは下のハイライトを見てもわかるように、1点目はフリーキックからの得点、2点目はスローインを奪ってからのRodriguezのスーパーゴールとなっており、流れの中から崩したというものではない。枠内シュートも得点になった2本のみであまりチャンス自体も多くはなかったのだが、いくつか目指す攻撃の萌芽がみえたシーンはあった。


 下の図は76分の場面で、右SBのLowtonからCFのRodriguezにロングボールを蹴り、RodriguezがおさめたところでMcNeilへパス。ボールを受けたMcNeilはサイドへドリブルで運び、オーバーラップをしてきたTaylorにパスを出した。この様にオーバーラップしてきたSBへパスを出しセンタリング、それをツートップが競る、というのが攻撃の基本的な形になる。


 ただ左右で少し違いはあって、左SHのMcNeilは両サイドへ顔を出しており、おそらくSBへパスを供給する役として、そしてドリブル等で攻撃にアクセントや創造性を加える役としてMcNeilは存在している。右SHのHendricksは高めに位置どることも多く、サイドでボールを受けたり、センタリングに競ったり、こぼれ球を拾ったりとよりボールを受ける側としての役割が目立つ。なので、McNeil等が右サイドに流れてきていない場合は、21分の攻撃の様に右サイドの攻撃はシンプルなものになりがちであるように思う。Henricksがより高めであるようにみえたのはもしかしたら、ユナイテッドの右SBのWan-Bissakaに比べて左SBのWilliamsがあまり攻撃参加していなかった、ということも関係があるのかもしれない。また、バーンリーの守備時は、この場面の様にRodriguezが最前線で1人前残りしているということがほとんどである。


 上の場面は13分の場面で、ここではMcNeilが右サイドでの攻撃に参加するために、右サイドに寄っている。McNeilがこのように左右に顔を出していることがこの場面でもわかるのと、また、バーンリーのDMFの2人は攻撃時には縦関係になることが多いこともこの場面から分かる。カウンターへのケアや後方からのパス交換の起点になるのは下がり目に位置どるWestwoodで、一方のCorkはより高い位置で攻撃に参加する。この場面以外にも、例えば20分の場面ではCorkが左サイドの外のスペースへ走る場面もみられた。Westwoodよりもより行動範囲が広く、機動力のある選手と言えるだろう。CorkとWestwoodの行動範囲の違いは、下のヒートマップを見ても一目瞭然だと思う。

sofascore.com

試合後雑感


 バーンリーは、今回はアウェイで2-0の勝利を掴み取ることができ、これで2連勝。それも相手はレスター、ユナイテッドと強豪揃いである。チームとしてやりたいことがしっかりと共有されていて好調に見えるが、流れの中からのチャンスシーンがほとんどなかった点は気がかりではある。

@ManUtd

 ユナイテッドについてまずは試合内容とはあまり関係ない話題から。春節に合わせて、中華風のトレーニングシャツを着て試合前にウォーミングアップをしていた様である。年に一度の珍しいものなので一応紹介。試合内容について言うと、左サイドをJames、右サイドをWan-Bissakaに幅とり役を任せる形をみて、自分は10月にアーセナルと対戦した時期のユナイテッド(詳しくはプレビュー記事参照)を思い出した。その頃よりかは工夫が随所にみられるようにはなっているが、RashfordとMartialが揃って出場できないときの課題は相変わらず解決していない印象である。DAZNの解説によると、この日オールド・トラフォードにはフロント批判のチャントと、クラブのレジェンドであるSolskjaer監督を支持するチャントが鳴り響いていたという。スカッドに偏りもありそれ以外のことを含めてフロントの責任が大きいことは外からみていてもわかるくらいに明白ではあるのだが、ただ、10月から、もしくは今シーズン始まってからの課題をどうにもできていないSolskjaerが免責されるわけではないだろう。Bruno Fernandesの獲得が間近に迫っているようだが(skysports.com)、彼の加入でこの問題は解決する方向に向かうのだろうか。