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2020年1月11日土曜日

Match Preview: 2020/01/11 Arsenal vs Crystal Palace (A)

 1月11日のクリスタルパレス戦に向けたプレビュー記事です。クリスタルパレスの直近のリーグ戦のレビュー記事も書いていますので、併せてご覧ください。


クリスタルパレスの現在の状況


@CPFC

リーグ戦での現在順位: 9位
勝ち点 28:勝ち7 引き分け7 負け7
得点19 失点23

 現在のクリスタルパレスで注目すべきはまず失点数。失点23は、リバプール(1試合消化が少ない)、レスター、シェフィールド・ユナイテッドのみであり堅守が自慢のチームになっている。ただ今シーズン、複数失点した6試合は、スパーズ、マンチェスター・シティ、アーセナル、レスター、チェルシー、リバプールとなっており、上位陣には力負けしてしまう傾向がある。そう言っても、3失点以上したのはスパーズ戦のみなので、アーセナルとしては複数失点すると勝ちが大きく遠のいてしまうだろう。その一方で得点数19はワトフォードに次ぐ少なさとなっており、1試合あたりのシュート数はリーグで最も少ない数字である。攻撃陣の積極性に欠けるのか、チャンスを作り出す仕組みが未構築なのか、そもそもシュートを打てる選手が少ないのか、原因は分からないがいずれにしろ、攻撃面に大きな課題を抱えていることは確かである。得点力には劣るが堅い守備を誇るため大きく崩れることも少なく、いい意味でも悪い意味でも「安定」しているチーム、という印象だ。

whoscored.com

 他に気になるデータとしては、下の図の様に、前半開始直後と後半開始直後の時間帯を苦手としている。ノリッジ戦でも試合中にプレッシングの仕組みを変更したりと柔軟かつ器用に修正する能力があるチームなのであるが、その修正までに少し時間がかかるのかもしれない。アーセナルとしては、こうした時間帯に奇襲を仕掛けたり、インテンシティを高くして早いうちに試合を決めてしまいたいところである。

understat.com

直近四試合のリーグの結果とメンバー


vs Newcastle (A) 0-1
(whoscored.com)
vs West Ham (H) 2-1
(whoscored.com)
vs Southampton (A) 1-1
(whoscored.com)
vs Norwich (A) 1-1
(whoscored.com)

 フォーメーションは451か433となっていて、これは前回の対戦時から変わっていない。ノリッジ戦では守備時に433になることもあったし、451でブロックを敷くこともあったので、433か451かというのはそれほど大きな問題ではない。左サイドのZahaはWGとしての役回り、右サイドの選手はSHとしての役回りを務めているので、あえて言うとしたら非対称な433だろう。ただ、これまで出場可能な20試合すべてで先発しアンカーを務めていたMilivojevicがFAカップでのレッドカードによりアーセナル戦は出場停止である。442を試す可能性もあるが、Milivojevicが不在であったリーグ戦唯一の試合であるウェストハム戦ではアンカー役をMcArthurが務めて433を貫いている。ここでフォーメーションを変更して442にする可能性は低いと思う。

understat.com

怪我人等情報


 怪我でアーセナル戦に間に合わない選手はTownsend、Schlupp、Sakho、Dann、Aanholt、Ward。間に合うかどうか疑わしい選手はBenteke、Camarasa。下の記事では怪我人リストに入っていると書かれているが試合前の記者会見によれば(@CPFC)、Zaha、Riedewald、Meyerは出場可能。それでも怪我人が8人もいるという状況。更に、MilivojevicはFAカップでのレッドカードにより出場停止である。クリスタルパレスは抗議している様であるが(skysports.com)、現時点で処分が軽減されたという情報はない。一方、FAカップではCahillが約一か月ぶりに復帰している。また、Tosunがエバートンよりローンで加入しており、アーセナル戦への準備もできているとのことである(cpfc.co.uk)。ちなみにTosun加入により、Bentekeのアストンヴィラへの移籍の噂が出ている様である(@avfcnews2019)。

The latest Crystal Palace injury news ahead of Arsenal test

メンバー考察


 怪我人と出場停止の選手の数が多いので選択肢もあまりないのであるが、迷うとすれば中盤の選手の並びである。MaArthur、McCarthy、Meyer、Kouyate、Camarasaが起用可能でこのうち誰にアンカーの役割を任せるのか、ということになる。Milivojevicが唯一欠場したウェストハム戦ではMcArthurが務めているが、現在のクリスタルパレスではMcArthurの飛び出しが攻撃の大きな武器になっているので、それよりもMcCarthyをアンカーに起用した方がいいと思う。ノリッジ戦でもMilivojevicの横に下りてきてビルドアップに貢献していたのはMaCarthyであることが多かったようにみえ、普段の役割から考えてMcCarthyの方が適応もしやすいと思う。

 CF、右WG、右CMFはセットで考える必要があり、Ayewはどこかのポジションで必ず使われると思う。可能性としては下の通り。

・CFにBentekeかTosun、右WGにAyew、右CMFにMeyer
・CFにAyew、右WGにMeyer、右CMFにKouyateかCamarasa

 このうち、可能性が高いのは前者だと思う。Bentekeが怪我で離脱する前はBentekeとAyewを併用していたし、ノリッジ戦を観る限りMeyerはより中央での方が仕事をしやすそうであるようにみえたし、左サイドへの攻撃の偏りを少しでも是正するのであればAyewを右サイドに起用するのがいいと思う。この場合の懸案事項というと、CFに怪我で間に合うかどうかわからないBentekeか、新加入のTosunを起用しなければいけないことであり、また、Benteke不在のここ数試合の形を踏襲するのであれば後者の方が選ばれると思う。予想メンバーは下の通り。


クリスタルパレスの戦い方


 クリスタルパレスの攻撃の要は何と言ってもZaha、そして彼を中心とした左サイドからの崩しである。下の図はノリッジ戦のヒートマップであるが、クリスタルパレスの攻撃が左に大きく偏っているのが一目瞭然である。シーズンを通してのデータ(whoscored.com)で見ても、攻撃の43%が左サイドからの攻撃でこれはウェストハムと並びリーグトップの数字である。シーズン前半はZahaを右サイドで起用していたので、最近の試合だけでみるとこの数字はより大きくなると思う(ノリッジ戦は58%)。Zahaにできるだけ良い体勢でボールを預け、そこからコンビネーションや個人技で突破してクロスを上げたり、もしくは自身でカットインしてシュートを目指す、というのが理想的な攻撃の形になる。

.whoscored.com

 まずはZahaに如何にして良い体勢でボールを持たせるのか、というところから。下の図はノリッジ戦での場面である。Zahaが大外の少し低い位置まで下りてきており、DFラインを維持したい相手SB(Aarons)がついていくかどうか躊躇してしまうポジションをとっている。またこの時、SBのRiedewaldが中央にいるようになっていて、相手SH(Buendia)のマークを引き寄せている。これによりZahaは余裕をもってボールを受けることができている。この他には、逆サイドのCB等からZahaへサイドチェンジという場面も見られた。


 Zahaがボールを持った後の崩しであるが、当然、彼が個人のドリブルで崩すしていく様な場面も数多くみられる。Zahaの1試合あたりのドリブル数は5.1でこれはプレミアリーグ全体で2番目の成績である(1位はAdama Traoreの5.6、3位はSaint-Maximinの4.5)(whoscored.com)。それと同時に、上の図の場面でもそうなっているように、McArthurとが相手SBとCBの間のスペースに飛び出したり、もしくは高い位置にいるMcArthurとZahaがワンツーで抜け出す、というコンビ―ネーションをみせることもある。下のマンチェスター・シティ戦のプレーはその典型的なものであり、これはシーズン序盤から徹底させれているクリスタルパレスの得意パターンになっている。


 守備時は、451でブロックを敷く形と、433で前線からのプレスを強めにする形をノリッジ戦では使い分けていた451で中盤5人とディフェンス4人で2枚のブロックを敷く形はシーズン序盤からみられるもので、クリスタルパレスの今シーズンの失点の少なさを支えているものとなっている。2枚のブロックと書いたが、Milivojevicはアンカー気味に位置どっており、左右のカバーに回れるようになっている。サイドを埋めつつ選手間を適切に保ち、ブロック間の距離感もよく、Milivojevicを中心として非常に統率がとれている印象を受ける。ただ、こうした守備時の形にも弱点がないわけではなく、まずは前回の対戦時のプレビュー記事でも指摘したように、ライン間(特にMilivojevicの脇)で受ける選手への対処には多少不安がある。試合が進む中で、どうしてもライン間が空いてしまう場面というのは出てしまい、マンチェスター・シティ戦ではJesus、ノリッジ戦では下の場面の様に、Buendia、Cantwell、McLeanにこのブロックの間のスペースを上手く利用されていた。また、攻撃時のタスクが多いZahaにかかる守備の負担が大きいというのも欠点としては指摘できる。


 これに加えて451でブロックを敷く形では相手CBやDMFの選手へプレスをかける選手がCFの選手のみになってしまい、そこへのプレッシングが弱くなってしまう。下の図はマンチェスター・シティ戦での失点シーンであるが、相手CB(Fernandinho)の持ち上がりに対してずるずるとラインを下げてしまっており、自陣中央付近までFernandinhoがボールを運ぶことを許してしまっている。現在のプレミアリーグの上位チームになるとCBには足元の技術に長けた選手が揃っており、こうした選手に自由を許してしまうことが、もしかしたらクリスタルパレスが上位陣に対して結果を出せていない原因になっているのかもしれない。


 おそらくこうした課題を解決するために導入されているのが433でプレスを強める仕組みであるのだと思われる。下の図はノリッジ戦でのプレーで、前線の3人は相手CBへも積極的にプレスをかける。Zaha、Meyerのサイドの2人はSBへのコースを切りながらプレスをかけようになっていて、中盤の3人は中央を締めつつ、前線の3人の動きに連動できるようになっている。自由にさせるとノリッジのCBやDMFからは質の良いボールが前線へ供給されるので、こうした対策が必要であった。ただこういった場面がみられたのは数回でのみで試合を通じては行っていなかった。後方にスペースができることを嫌がったのか、Zahaの負担が増えてしまうことを恐れたのか、もしくはまだ未整備で90分は継続できないと判断したのか、もしくはそれ以外に理由があるのかはわからなかった。


アーセナルはどう戦うべきか


 アーセナルの怪我人は、Bellerin、Chambers、Tierneyの3人で、このうちBellerinはクリスタルパレス戦で起用可能かもしれない(arsenal.com)。ただ、Arteta就任以降のチームをみると、Bellerinが起用可能だとしてもMaitland-Nailesが優先されるだろうと思う。アーセナルとしては上手く機能している最近のスカッドから変更は必要ないかと思うので、メンバー予想は下の通り。


 選択に迷うのは右サイドを任せるのはNelsonか、Pepeか、というところになるかと思う。マンチェスター・ユナイテッド戦ではPepeが使われているが、これがNelsonの疲労を考慮してのものなのか、もしくは戦術的な意図からなのか、ということについて、勉強不足のため自分自身が理解できていないので、とりあえずNelsonにしている。ただ、Nelsonを起用することに理由がないわけではない。クリスタパレスの守備のブロック間を利用するプレーであればNelsonの方が長けていると思うし、また、守備面を考えると、Zahaに対しては常にSHの選手がケアできる態勢をつくっておきたい。ノリッジはZahaに対し、BuendiaとAaronsの2人が常に目を光らせるようにしており、特にBuendiaがとてもよく効いていた。Zahaに対して2枚用意するだけであればMaitland-NilesとTorreiraで充分であるかもしれないが、もう1人の攻撃の要であるMcArthurのことを考えると、Torreiraはできるだけ中央にいるようにした方がいい。Pepeよりも、運動量が豊富で、ピッチ上の至る所で役割を持つことのできるNelsonの方がこの試合には向いていると思う。

 先にメンバー予想をしてしまったが、この試合でアーセナルが注意すべき点は下の様になる。

・Zahaとはなるべく一対一の局面を作り出さないようにする
・カウンターに備えて大外で待ち構えるZahaへのケア
・McArthurの飛び出し等へのケア
・ブロックの間や相手のアンカーの脇を上手く利用したプレーを多用する
・ブロックを敷かれた際に、CBの持ち上がり等の解決策を用意しておくこと

 前回の対戦時は2点先制したにも関わらず、追いつかれて引き分けに終わった。1失点目はPKによるものであったが、このPKは相手CBへのプレスが弱く、ロングフィードからZahaとChambersの一対一を作り出されたことに起因するものである。この失点で雲行きが一気に怪しくなった。Arteta就任以後、前線からのプレスに仕組みは整備されてきているのでこうした過ちを繰り返す可能性は低いと思うが、警戒して欲しい。


 ちなみに、HodgsonとArtetaの年齢差は34歳と229日となっており、この対戦はプレミアリーグ史上で5番目の年齢差がある監督の対決となる模様。Artetaが生まれたその年に、既にHodgsonは監督としてのキャリアをスタートさせていたという(cpfc.co.uk)。アーセナルはここ3試合クリスタルパレス相手から勝てていない(@premierleague)。若さ溢れるArtetaにこの最近の苦手意識を払拭する闘いをみせてもらいたいと思う。

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