2019年12月30日月曜日

Match Preview: 2020/01/02 Arsenal vs Manchester United (H)

 2020年1月2日のマンチェスター・ユナイテッド戦に向けたプレビュー記事です。マンチェスター・ユナイテッド(以下、ユナイテッドと表記)の最近の試合のレポート記事も書いていますので是非ご覧ください。

Match Report: 2019/12/08 Manchester City vs Manchester United
Match Report: 2019/12/15 Manchester United vs Everton

ユナイテッドの現在の状況


premierleague.com

リーグ戦での現在順位: 5位
勝ち点 31:勝ち8 引き分け7 負け5
得点32 失点23

 前回の対戦時は8位でSolskjaer監督の解任が間近であると言われていたがそれから約3か月経ち、かつての強さを取り戻したとまでは言わないまでも、見事に建て直し調子を上げて、勝ちを確実に積み重ねてきている。この復調の大きな理由は何と言っても、MartialやShawといった怪我人の復帰であろう。ほぼベストメンバーで戦えるようになってから、モウリーニョ率いるスパーズに勝利したり、アウェイでマンチェスター・ダービーを制したりと強豪相手にも結果を出している。ただその一方で、マンチェスター・ダービーの翌週には暫定監督率いる不調のエバートンにホームで引き分け、その次の節では最下位ワトフォードに0-2で負けており、いい意味でも悪い意味でも、相手によって姿を変えるチームになってしまっている。

 最近好調のチームを支えているのはRashfordで、今月に入ってから5ゴールと絶好調である。SH(WG)としてもCFとしても良い働きをみせており、以前は少し不安定さがみられたが、いまやチームにとっては不可欠な選手に成長しているので要注意である。


 マンチェスター・ダービー直前の記事によれば、ユナイテッドはボール保持率で下回った場合の成績が4勝1分で無敗、これはマンチェスター・シティ戦でもそうであったのでいまも継続中の記録である。Arteta就任以降のアーセナルはボール保持率が改善している傾向にあり、特に今回はホームであるのでアーセナルがボール保持率で上回る可能性が高い。ユナイテッドのお得意にパターンに持ち込まれ餌食にされることはぜひとも避けたいところである。

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 ほかに気になるデータとしては下の図のように、前半16分から30分に強く、逆に、後半開始直後の15分に結果が出ていないというものがある。これに合致するような試合を観ていないので原因は分からないが、一応の傾向として紹介しておく。

understat.com

直近四試合のリーグの結果とメンバー


vs Everton (H) 1-1
(whoscored.com)
vs Watford (A) 0-2
(whoscored.com)
vs Newcastle United (H) 4-1
(whoscored.com)
vs Burnley (A) 2-0
(whoscored.com)

 フォーメーションは4試合とも4231。これはシーズンを通して一貫しており、新たな怪我人が続出しているわけでもないので、フォーメーションを変える必要はないだろう。アーセナル戦にも4231で挑んでくるとみて間違いないだろう。

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怪我人等情報


 最近の怪我人で言えば大きいのはMcTominayの怪我だろう。バーンリー戦後のSolskjaer監督のコメントによれば、まだ検査途中であるもののおそらく数週間は戻ってこれないだろうという。逆に、ずっと戦線を離脱していたPogbaが復帰したのはポジティブな要素。バーンリー戦ではベンチ外になっているがこれはターンオーバーによるもので、アーセナル戦には問題なく出場してくるだろうと言われている。以前から怪我で離脱しているRojo、Bailly、Fosu-Mensah、Tuanzebeは引き続きアーセナル戦には出場できない。
Solskjaer explains absence of Pogba and McTominay at Burnley

メンバー考察


 バーンリー戦で先発から外したPogba、Shaw、Wan-Bissakaは疲労を考慮してのものであろうから間違いなく出場してくるであろう。メンバー選考で問題になるとすれば次の点である。

・トップ下はLingardかPereiraか
・右WGはJamesかGreenwoodか

 Lingardは前線からのプレッシングでの貢献も高く個での突破やアイデアも優れているのでユナイテッドがボールを保持できない試合では彼の方がいいだろう。一方のPereiraはライン間に顔を出す動きがよく、逆にユナイテッドがボールを保持するような展開であれば彼に分がある。右WGのJamesは典型的なウイングの選手で、カウンターを目指すのならスピードのある彼が最適だろう。その一方で、Jamesが常に外側のスペースを使いたがるためにWan-Bissakaのオーバーラップが阻害されてしまうということがあるのが難点で、その点に関して言えば、Jamesよりも多少爆発力は劣るが、自身で外で受けたり、中に動いてWan-Bissakaの上りを促進できるGreenwoodの方が器用である。試合展開を考えると一見、Jamesの起用の可能性の方が高そうではあるが、アーセナルの現在の左サイドはSaka、Aubameyangが守備を担っており不安を抱えている。ここを突いていきたいと考えるのは当然でそうであれば様々な崩しのパターンを演出できるGreenwoodを優先したくなるのではないかと思う。バーンリー戦ではJamesがフル出場している一方でGreenwoodが出場しておらず、これが戦術的な意図なのか、ターンオーバーなのかは判断しかねるが、個人的には後者の可能性が高いと考えている。よってメンバー予想は下の通り。Pogbaが復帰した後の試合を観られていないので曖昧だが、FredとPogbaの位置は逆かもしれない。


ユナイテッドの戦い方


 前回の対戦時の基本的なメンバーが下の左の図で、現在の基本的なメンバーは右の様になっている。前回の対戦時は左の攻撃はJames、右の攻撃はWan-Bissakaがそれぞれサイドを使って突破していく様な形であったが、現在はMartialが復帰してJamesを右に回せるようになっている。これによりWan-Bissakaのオーバーラップに依存しなくても右サイドでの突破力が担保され、同時に守備時のリスクも軽減できるようになっている。ここに最近で言えばGreenwoodが成長してきて、Jamesのオプションになることができるようになっている。これに加えて、以前はYoungが左SBを務めており攻撃力に欠ける印象であったがここにShawが帰ってきており、インナーラップ、オーバーラップともに器用にこなしつつ守備的な安定感もある彼の復帰で左サイドの攻撃も活性化している。また、Fredが定着してきていることは大きく、中盤の守備の安定性も増しているという印象を受ける。


 強みとなる攻撃のパターンはやはりカウンターアタックで、マンチェスター・シティ戦の直前の記事によればカウンターでのゴールが最も多い。下の左の場面はシティ戦のもので、カウンターではないのだがユナイテッドのスピード感あふれる攻撃の良さが表れていると思う。SBやDMFを攻撃の起点として、中央のスペースに下りてくるMartialやLingardを使いながら一気にギアを上げて両サイドのJames、Rashfordがスピードを生かしてサイドのスペースを利用してくる。ただ下の右の図のエバートン戦のように、442のブロックを敷かれてサイドのスペースを埋めつつDMFの選手が高い位置でボールを持てず、WGの選手を徹底的に監視されるとそこを崩す手段に欠ける印象である。エバートン戦ではGreenwoodを右サイドに配置したりと、SBを生かすことでこうした問題を解決しようとしていたが、ここの攻撃は個々の機転に頼りがちで、現在模索中であり、チームとしてはあまりデザインされていないと思う。


 ユナイテッドの守備時の形は4231で構えることに変わりはないのだが、ボールを保持して崩してくるシティ戦と、エバートン戦では少しプレッシングの仕方が違っていた。まずシティ戦では下の様になっていて、ユナイテッドはコンパクトな幅の4231を保つような守備隊形を組んでいた。基本的には、相手のSBがボールを保持するとWGの2人(RashfordとJames)が、相手のWGがボールを保持するとSBが対応する。この場合、左サイドで高い位置をとるシティのSB(Angelino)へのプレスが少し遅れてしまうことになるが彼単独で突破することができるわけではないので、Angelinoがある程度余裕をもってボールを持つことはユナイテッドも許容している様に見えた。アンカーのRodriにはLingardが、シティのCMFにはDMFがそれぞれ監視役になっており、DMFの2人は同時にシティが利用したいSBとCBの間を埋める様に徹していた。この守り方はSBとDMFに高い能力が求められることになり、Pogbaに担わせるには重すぎる守備タスクかもしれない。ただ、アーセナルの現在のビルドアップ時の形を考えるとユナイテッドのDMF2人でOzilのみをみればいいので、こういったPogbaのマイナス面は気にならないだろうと思う。


 一方で、エバートン戦では下の様な形になっている。2列目の選手が中央を絞るような形に位置どるのはシティ戦と変わらない。下の右の図の場面のようにプレスをかけることを目指しており、その際はCFのMartialがCBへプレスをかけにいきSBがボールを持つように誘導する。SBがボールを持つとSHがプレスをかけに行き、それに合わせて他の選手もボールサイドに集まり、ボールを奪いとるか、GKまで戻させることを目指す。エバートンが後方から繋いでいく様な場面はあまりなかったが、それはこうしたユナイテッドのプレスが上手く機能していたからというのも理由の1つだろう。エバートン戦でユナイテッド守備陣が苦労していたのは、中央寄りに位置どるエバートンのSHと、外に流れてくるツートップの選手への対応である。SHの選手に対してSBが対応するのか、DMFの選手が対応するのかということが曖昧になる場面があり、本来SBが対応しなければいけない場面でも、そのSBの選手がサイドに流れてきたエバートンのCFについていて対応できていない、という場面も見られた。アーセナルで言えばNelsonがこういった動きに長けていると思うので、積極的に活用したい。


アーセナルはどう戦うべきか


 チェルシー戦の直後に書いているので怪我人情報等は正確なものがなく、多分に推測を含みますのでその点はご容赦ください。チェルシー戦前の情報では、Bellerin、Ceballos、Holding、Martinelliは出場可能かどうかわからない状態、Sokratisはボーンマス戦の脳震盪の影響でチェルシー戦は欠場、KolasinacとTierneyは怪我で離脱中。出場可能かどうかわからないと言われていたBellerin、Ceballos、Holding、Martinelliは結局、いずれもチェルシー戦ではベンチ外になっている。また、試合後の公式情報(下の記事)によるとXhakaは熱があり2日間寝込んでいたとのこと。チェルシー戦で途中退場したChambersはまだ検査中だがあまりよろしくはなさそうなので、ユナイテッド戦には間に合わないだろう。
What's the latest on Xhaka and Chambers?
 あまり選択肢がないので早速だが、予想メンバーは下の通り。メンバー自体は大きく変わっていないが、4231ではなくエバートンと同じ442にしている。442にしているのは主にエバートンの下の右の図の様な場面を作りたいからで、上でも触れたが、試合を通じてあまりサイドに張ることなく中央で待ち受けるエバートンのSHのBernardに対して誰が対応するのか(McTominayなのか、Wan-Bissakaなのか、もしくはそれ以外か)をユナイテッドは定めることができていなかった。そのためにここでは(その前の流れも影響するのでそれだけが原因ではないのだが)、Wan-BissakaかMcTominayがBernardをみることになっているはずだがそれぞれがマークすべき相手を抱えており、Bernardがフリーになってしまっている。こうしたBernardの様な動きをOzilやNelsonであれば上手くこなせると思う。442を採用しこういったことを目指すのあれば、サイドの攻撃にSBのオーバーラップは不可欠であり、それであれば右SBはBellerinの方がいいと思う。Maitland-Nilesをビルドアップの際に中盤の中寄りの位置に立たせる工夫がArteta就任以降みられるが、これと同様のことをしているシティはユナイテッドに対策されてしまっており同じことをやりにくい以上、この試合でMaitland-Nilesを無理に採用する必要もないと思う。この場合に心配なのは、Wan-Bissakaが攻撃参加した際にOzilが対応する必要があることであり、そもそもOzilとSakaの左サイドはAubameyangとSakaのペアよりも不安が大きい。Artetaが何か別の代替案をみつけてくると信じている。新監督就任以降、内容は格段に向上しているので、ひとまず安心するためにも勝利が欲しい。2020年の初戦、ホームで初勝利をみせてほしい。