2019年12月21日土曜日

Match Preview: 2019/12/21 Arsenal vs Everton (A)

 12月21日のエバートン戦に向けたプレビュー記事です。エバートンの試合のレポート記事も書いていますので併せてご覧ください。

Match Report: 2019/12/15 Manchester United vs Everton

エバートンの現在の状況


@Everton

リーグ戦での現在順位: 16位
勝ち点 18:勝ち5 引き分け3 負け9
得点20 失点29

 現在の順位は16位。IwobiやKeanといった選手を獲得しシーズン前にはビッグ6を脅かす存在の筆頭であると期待されたが、成果がでていない。下の記事はサウサンプトン戦の前のプレビュー記事であるが、Zouma、Gueyeといった守備の主力選手が抜けた穴を埋めきれていないと指摘されている。Marco Silva監督が解任される前はハイプレスを志向する傾向にあり、そうするとどうしても中盤に広いスペースができてしまう。ハイプレスで奪いきれなかった際にそこをカバーできるGueyeの存在は大きかったのだろうと思う。
Tactical Watch: Everton | Southampton FC
 ただ、Andre Gomes等主力メンバーに怪我が相次いでおりマンチェスター・ユナイテッド戦ではDFのHolgateを中盤起用したりと厳しいやり繰りを迫られているなかで、Marco Silva監督が解任されたあとのここ2試合は集中力の高い守備をみせている。チェルシーに勝利、ユナイテッドにアウェイで引き分けたりと見事に「解任ブースト」を決めているので油断はできない。それに加えて、この試合の後にはAncelottiの正式就任が既定路線だとみられており、Ferguson暫定監督のラストマッチになる。ミッドウィークにカラバオ・カップのレスター戦を主力メンバーでこなし疲労は溜まっているであろうが、これまで以上の熱量をもってアーセナルを迎え撃つことが予想される。

直近四試合のリーグの結果とメンバー


vs Leicester (A) 1-2
(whoscored.com)
vs Liverpool (A) 2-5
(whoscored.com)
vs Chelsea (H) 3-1
(whoscored.com)
vs Manchester United (A) 1-1
(whoscored.com)

 レスター戦、リバプール戦では3バックを使用しているが、Marco Silva監督が解任されFerguson暫定監督が指揮を執るここ2試合は442。ユナイテッド戦の後半途中からは433にしている時間帯もあったが、あくまで一時的なものだろうと思う。中盤の選手の欠場が相次いだユナイテッド戦では本職がCBのHolgateを中盤に起用してまで442を採用している。何より結果を出している形なのでわざわざ変える理由も見当たらないし、アーセナル戦もフォーメーションは442で来ると考えてよいだろう

怪我人等情報


 試合前のプレスカンファレンスで触れられていたのは4名のみで、Digne、Sidibe、Delph、Sigurdssonの4名のみで、彼らは既に軽いトレーニングには復帰しており、アーセナル戦のメンバーに含まれるかどうかは今後の判断になるとのことである。一方、会見では言及されていないWalcott、Gbamin、 Schneiderlin、Andre Gomesは引き続き出場できない。
Four Back In Contention For Everton's Arsenal Clash

メンバー考察


 ユナイテッド戦からのメンバーから変更があるとすれば怪我人が復帰してくることくらいで、戦術面からの変更は考えにくいと思う。11月初めから離脱しているDelphが先発から使われる可能性はないと思うが、DigneとSidibeはアーセナル戦に間に合うのであればスタートから起用されるだろう。注目が集まるとすれば中盤の起用で、もしSigurdssonが間に合った場合にHolgateの代わりに使われるかどうか、ということに議論の余地はある。本来であればMFが本職であるSigurdssonが使われる可能性が高いが、ユナイテッド戦をみる限り中盤で起用されたHolgateのパフォーマンスは安定しており、そもそもSigurdssonもDMF(CMF)は本職ではない。例えSigurdssonが万全の状態であっても、守備面を考えるとHolgateを優先しても良いのではないかと思う。


エバートンの戦い方


 Marco Silva監督の時から守備時に442になるということは変わっていないが、Fergusonになってから細かな部分での変化がいくつかある。Silva監督時代はノリッジ戦のように442でハイプレスを仕掛けることもあるし、もしくはブロックを敷くにしても相手のSBやWB、DMFが保持した際に中盤がスライドし一気に人数をかけて奪い取ることを目標としていて、全体としてショートカウンター主体のチームであった。一方、まだリーグ戦では2試合しか戦っていないが、Ferguson暫定監督が指揮を執るようになってからは下の図の様な形を主にしている。ツートップの2人は相手DMFへのパスコースを遮る位置に立ち、SBへパスを出させるように誘導する。相手SBへパスが出るとSHの選手が中央へのコースを切りながらプレッシャーをかけて、相手SHへパスを出させる。そして相手SHへパスが出ると、SH、SB、CMFの選手が三方向から詰め寄りボールを奪うことを目指していた。


 攻撃に目を向けると、ユナイテッドが積極的に前線からプレスを仕掛けそれを交わす術もなかったので、ユナイテッド戦の攻撃時はCBやGKのPickfordからツートップにロングボールを当てるような形が目立った。典型的なのが下の場面である。ユナイテッドは狙い通りPickffordまでボールを下げさせることに成功するのだが、GKからロングボールを蹴った先にいるのはWan-BissakaとCalvert-Lewinであった。この対決はCalvert-Lewinに分があるし、ロングボールを競り合った後のボールを回収することに関しての用意は、エバートンの方が上手だったようにみえる。


 また、上の図から少し進行したのが下の場面であるが、ここではWan-BissakaかMcTominayがBernardをみることになっているはずだがそれぞれがマークすべき相手を抱えているためにBernardがフリーになってしまっている。この前の流れからのハイプレスによるユナイテッドの前線の選手の形の乱れもこのような状況を生んだ原因の1つであるし、それとともに、試合を通じてあまりサイドに張ることなく中央で待ち受けるBernardに対して誰が対応するのか(DMFのMcTominayなのか、SBのWan-Bissakaなのか)を定めることができなかったことも原因として考えられる。また、ユナイテッドは片方のサイドへ圧縮するプレスのかけ方を選択しているので逆サイドにスペースができてしまっており、この後、Bernardから数本のパスを経由して逆サイドに展開されてしまっている。


 チェルシー戦での先制点の場面も似たような形になっている。スローインからボールを奪い取ったSigurdsonは一気に早い縦パスをCalvert-Lewinへ通す。そこからRicharlisonへ、さらに右サイドのスペースを駆け上がるSidibeへ展開している。ユナイテッド戦の場面もチェルシー戦のこの場面でも、CFにボールを一旦当てて、そこから逆サイドに展開、という点は共通している。


 ユナイテッドの守備が対応に苦慮していた様な、中央寄りに位置どるエバートンのSHと、外に流れてくるツートップの選手への対応はアーセナルも十分に注意するする必要がある。アーセナル戦でも先発出場が予想されるBernardとIwobiはライン間で受けることに長けた選手であるし、ボールを持った時に自ら持ち上がる推進力もある。彼らに自由にボールを持たせると、Sidibe、Digneといった魅力的な攻撃のセンスを持っているSBとの連携で容易にサイドを崩されることになるだろう。ちなみに下のツイートではサウサンプトン戦でのIwobiのプレー、認知の素晴らしさについて説明されている。


アーセナルはどう戦うべきか


 以上のことをまとめると、エバートン戦のメンバーを考える際に頭に入れておく必要があることは下の通り。

SBからSHを経由するようなルートは容易に対策されてしまう
・SBと相手CFが競り合うような場面が作られてしまうのでSBにも空中戦に負けない選手が必要
ライン間を利用する相手SHに対して個々の場面で誰が対応するのか、約束事をはっきりとさせておく
ダイナミックな相手SBのオーバーラップへの対応

 アーセナルの公式アナウンスによると、エバートン戦にはCeballos、Tierney、Kolasinacは起用できず、Xhakaは起用可能、Ozil、Holding、Bellerinは起用できるかわからない状況である。エバートンは中盤に離脱者が多いが、アーセナルは守備陣の離脱が目立っている。こうした怪我人を考慮した上で考えたのが下のメンバーである。チェルシーやユナイテッドでさえ苦労していたのに彼らと同様の4231にしてボールを前に運べるとは思えなかったので、ビルドアップ面の課題をフォーメーションで解決してしまおうと考えた。433にして中盤に厚みを持たせ中央からの攻略を目指すことも考えたが、コンパクトにブロックを敷くエバートンには有効ではないと思う。


 ビルドアップ時は上の右の図の様になることが予想され相手SHがCBにプレスをかけるとWBもしくはWGの選手のどちらかを余らせることができるので、ここでの数的優位を活かしてサイドを攻略したい。3412等ではなく343にしているのは、こうしたことを実現するためにサイドでの人数を増やしつつ、サイドで役割を持てる選手を使いたいからである。また、CBが2人の時よりも3人の時の方がDMFへのパスコースは増やすことができ、相手CFが容易にDMFへのパスコースを遮ることができなくなる。この形であれば基本的にCBと相手CFが競り合う形になるので相手のロングボールを恐れる必要もないし、センタリングを上げてきた際の競り負けも少なくなる。ちなみに、ライン間を利用したり溜めをつくることのできる選手が少ないので、CFにはLacazetteを起用している。

 両チームともに暫定監督同士の対決、そしてなおかつ、来週からは正式監督が就任し指揮を執ることが濃厚で(アーセナルは確定しているが)、両監督からすると、暫定監督としてのラストマッチになるという非常に珍しいマッチアップ。両監督ともにチームをつくりあげる十分な時間がなく、チームとしての完成度が高い対決になるとは想像しがたい。それだけに、個々の場面でのデュエルや運動量等がもろに結果に表れてしまうだろう。気持ちの込もった好ゲームを期待したい。