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2019年12月3日火曜日

Match Preview: 2019/12/06 Arsenal vs Brighton & Hove Albion (H)

 12月6日のブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン(以下ブライトンと表記)戦に向けたプレビュー記事です。ブライトンの試合のレポート記事も書いていますので、併せてそちらもご覧ください。
Match Report: 2019/11/10 Manchester United vs Brighton & Hove Albion

ブライトンの現在の状況


brightonandhovealbion.com


リーグ戦での現在順位: 16位
勝ち点 15:勝ち4 引き分け3 負け7
得点16 失点21 

 現在の順位は16位で、3連敗中。ただこの3連敗は相手がマンチェスター・ユナイテッド、レスター、リバプールと強敵揃い。それほど悲観的な3連敗ではないだろう。結果こそ出てはいないが、試合内容はそれなりに満足のいくものを残せているようで、今シーズンから指揮を執るPotter監督は先日2025年まで契約を延長している
Albion extend Potter's contract
 懸念点で言えば、今シーズンは特にアウェイでの成績が優れておらず、アウェイのみの成績で言うと1勝1分5負でリーグ全体で19位。ただそうは言っても、今のアーセナルの状況をみると楽観視は全くできない。リバプール戦の前のインタビューでブライトンのファンサイトの編集者の方が述べていることを要約すると次のようになる。「アンフィールドでは完敗さえしなければいいと考えているが、エミレーツでのアーセナル戦には自信をもって臨む。ビッグ6相手にアウェイで勝ったことはないが、その状況はアーセナル戦で変えることができるだろう」。要は、今のアーセナルは舐められている。エミレーツでは未だ無敗とは言え、周りからはそうみられるようなチームになってしまっている。意地をみせて欲しい。

sofascore.com

直近四試合のリーグの結果とメンバー

vs Norwich (H) 2-0
(whoscored.com)
vs Manchester United (A) 1-3
(whoscored.com)
vs Leicester (H) 0-2
(whoscored.com)
vs Liverpool (A) 1-2
(whoscored.com)

 フォーメーションは442(4222)、343(3421)、433、ユナイテッド戦では後半開始から3412へ、リバプール戦でも343へ変更している。最近は442を主軸としているようだが、先発のフォーメーションも多様であるし、試合途中の変更も厭わないタイプの監督である。ユナイテッド戦でのフォーメーション変更は的確であったし、アーセナルには試合中の細かい修正が求められることになる。Ljungbergには2試合目にして早速、監督としての引き出しの多さが試されることになるだろう。

understat.com

怪我人等情報


 レスター戦で怪我をしたMarchとBernardoは出られるかわからない状態。特にBernardoは最近トレーニングには復帰したものの8月以降プレミアリーグのピッチには立っていない。いきなりの先発出場はないだろう。また、Izquierdoは長期離脱中で、今シーズン中に戻ってこれるかという状況の様である。

メンバー考察


 まずはフォーメーション予想から。様々なフォーメーションを使うので非常に予想しにくいのだが参考になりそうなのがマンチェスター・ユナイテッド戦である。ユナイテッド戦の前半は下の左の図のように442(4222)で、後半からは右の図のように352(3412)に変更している。どうしてフォーメーション変更が必要だったかというと、それは442の場合相手のOMFの選手(この試合で言えばPereira)が自由になってしまうことが多く、ここに対応するために中盤の人数を増やす必要があったからである。アーセナルがどういうフォーメーションを採用するにしろ、アーセナルはOzilを使うことになるだろう。そうなったときに、Pereira以上にライン間で受けることに長けたOzilへの対策は真っ先に考えるはずで、同じ過ちを繰り返さないためにも442の採用は見送ると思う。

 リバプール戦で採用した433はどうか。この433は特殊な形をしていて見方によっては442にもみえる。下の図がボール非保持時のブライトンの形である。中盤の3人はブロックを敷いて中央を締めつつ、適宜スライドして対応する。トップのConnollyはCBにプレスをかけ、Grossは相手のアンカーを、Bissoumaは相手の右SBをみるようになっている。この場合、相手の左SBが空きがちになるがここはある程度自由にボールを持たせてよいと考えていたようで、少し遅れてPropperが対応するようになっていた。これはAlexander-Arnoldをかなり警戒して採用したフォーメーションであるように見える。これをアーセナル戦でするかというとそれは疑問で、BellerinやChambersからは前線への正確なフィードが出ることはないし、彼らに対してこうした特別な対策をする必要はないだろう。


 最後に、それではユナイテッド戦の後半で採用した352はどうか。352は中盤での制圧力は高いが、CBの脇が空きがちになってしまい、ユナイテッド戦ではここを利用するのに長けているJames、Rashfordに何度もカウンターを食らっていた。一方アーセナルにはJamesやRashofordの様なスピードを生かして独力でサイドを突破できる選手はいない。こうしたリスクがほとんどないことを考えると、352の採用の可能性が高そうではある。最近の試合であればレスター戦に3バックで挑んでいるが、ブライトンのファンサイトによるレスター戦のレビュー記事によれば、この3バックの採用理由は2つ。1つがDunkが出場停止なのでDFの人数を増やす必要があったということで、もう1つがレスターのVardy、Perez、Barnesの3人に対して3バックを置きほぼマンツーマンで対応したかったということである。Dunkは復帰するので3バックの優先度は少し低くなるが、それでもこれであれば仮にアーセナルが433の様な形で来たとしても対応できるし、不満はないだろう。よってアーセナル戦は352か343の3バックで来ると思う。352でも343でもボール非保持時は352の形になるだろう。懸念点があるとすれば左WBを務めるであろうMarchが怪我のために万全でないことで、他にこのポジションで起用されたことのあるBernardoも同じく怪我、AlzateとBurnはそれぞれFWとDFの選手で、WBとしては物足りなさがある。

 352(3412)か343(3421)かというのは前線の3人の選手の組み合わせ次第になる。候補はConnolly、Maupay、Gross、Trossard、Mooy、Murrayといったところ。前線の3人のうちConnollyは間違いなく起用されるだろう。まだ19才でありながら、ユナイテッド戦、リバプール戦ともに彼のドリブルはブライトンの攻撃の要になっていたし、最近は先発に定着している。リバプール戦よりも勝ちにこだわってくるのであれば、リバプール戦ではAlexander-Arnold対策のために押し出される形になってしまったチーム内得点王のMaupayも出場するだろう。そうなるとフォーメーションは3412になり、トップ下の候補はTrossardかGross。Trossardは役割がConnollyと被る印象を受けたし、ここは組み立てにも参加しつつ左右に流れて仕事のできるGrossの方が可能性は高いと思う。よって予想メンバーは下の通り。


ブライトンの戦い方


Graham Potter at Brighton 2019/20 - tactical analysis - tactics
 今シーズンのブライトンの戦い方については上の動画と記事で簡潔にまとめられている。ポイントはいくつかあって、まずは丁寧な後方からのビルドアップを重視するということである。下の図はマンチェスター・ユナイテッド戦でのものであるが、GKから展開し、DMFの選手(ここではPropper)を経由しつつサイドに展開することを目指している。ブライトンの攻撃ではこのように、GKが攻撃の起点になる場面もみられる。また、DMFのうち、Propperは足元にも優れており、彼からチャンスにつながるパスが供給されることが多い


 他に特徴的な点としては左右非対称の可変システムが挙げられる。下はリバプール戦の85分の場面であるが、この時のブライトンは3バックとも4バックともどちらとも取れるような形になっている。DMFやCBを経由しつつ、オーバーラップするBurnに展開しているのだが、この時のBurnは最初3CBの左の様な位置にいるが、機を見てオーバーラップしてSB的な仕事を果たしている。これを上の動画や記事ではCBのオーバーラップと呼んでいる。これと似たようなことをやっているチームで言えばシェフィールド・ユナイテッドがあるが、シェフィールド・ユナイテッドとは異なり、左右のCBがオーバーラップするわけではない。あくまで左サイドのBurnのみがこういうタスクをこなしている様に見え、こうしたBurnの押し上げを促進するためにStephensが下りてきてCB的な位置にくることも多い。Potter監督は3バックや4バックの様々なフォーメーションを使いこなすと言ったが、こうしたことが可能なのはBurnの存在が大きく、彼がSBの様にもCBの様にも働くことで試合中にも3バックや4バックに変化することが可能となっている。むやみやたらにフォーメーションを変更しているわけではなく、実はプレー原則自体は徹底されているものがあると言え、3バックと呼ぶか4バックと呼ぶかというのはそれほど重要な問題ではないだろう。


 こうした非常によく整備された攻撃の仕組みにより、今シーズンはボール保持率が飛躍的に上昇し、リーグ8位の成績になっている。ボール保持率が高ければいいわけでは決してないが、自分たちのペースで試合を進められるようになったことはサポーターからも評価されている様で、負けないためのサッカーではなく、勝つためのサッカーをできるようになったと形容されている。他にはCBのDunkは評価が高いようで、彼が前線へ供給するフィードの質の高さやセットプレーの強さも警戒する必要がある。マンチェスター・ユナイテッド戦ではMaguireに競り勝ち得点を挙げている。
2019/20
(whoscored.com)
2018/19
(whoscored.com)

 こうした攻撃の仕組みにも欠点がないわけではなく、まず、サイドで幅をとる役割をWBやSBに一任してしまう傾向にあり、前線の選手が中央に過剰に集まってしまう場面がユナイテッド戦では何度か見られた。これは戦術的な問題であるとともに、選手の特性の問題であるかもしれない。中央に集まり人数をかけ細かいパスで崩していくことができればいいのだが実際にはスペースをお互いに消しあってしまうし、個々の選手のアイデアや連携も不足している様に見えた。リバプール戦ではTrossardがサイドに張ったりするシーンもみられたので改善しつつあるのかもしれないが、WBやSBの選手がリスクを冒せない場合にはサイドからの攻撃がほとんどでいなくなってしまうことになる。逆にリスクを冒して攻撃を活性化させる場合はSBの裏の広大なスペースが空いてしまうことになり、こうしたスペースを上手く使える選手(ユナイテッドで言えばRashfordやJames)がいるチームには脆さを呈してしまうだろう。

 ボール非保持時の形やプレッシングについては上のメンバー考察のところで書いているので割愛。

アーセナルはどう戦うべきか


 ブライトン戦に向けて気を付けたい点は下の通り。

Burnのオーバーラップを牽制するためにも右サイドで張って仕事ができる選手が欲しい
・攻守ともにサイドの人数が不足しがちなので、サイドに人数をかけて制圧したい
ライン間で受ける選手に弱い傾向にあるのでここを上手く利用する
中央に人数をかけて攻めてくる傾向にあるのでここへしっかりと対応できる中盤の選手の起用

 そこで選んだのが下の様なメンバー。Ozilをトップにする0トップもみてみたいが、Ceballosが不在で中盤の人員に余裕がないので断念。Pepe、Aubameyangは基本的に前残りさせるようにして常に裏をつく脅威を与えていきたい。


 守備時には下の図のような形になる。Lacazette、OzilでDMFをみるようにし、基本的にTorreiraは余らせるようにして相手が中央に人数をかけてきた場合に刈り取る役割に専念してもらいたい。ちなみに下の図の右はブライトンが442で来た時の守備であるが、その場合もさほど変わらない方法で守ることができるようになっている。懸念点と言えばドリブルでの推進力に長けたConnollyとSokratisが一対一になる場面が多くなってしまいそうなことであるが、Kolasinacを左SBで起用していたことからもLjungbergは4バックを好んでいそうで、4バックを採用する以上このリスクは常に生まれると思う。割り切ってSokratisに期待するしかない。

 下の動画を観るとわかるように、Potter監督は非常に理知的な話し方をする監督で、界隈では非常に評価されている様である。就任2試合目でこういった監督を相手にしなければいけないというのはLjungbergにとって非常に酷な話であるが年齢的にはLjungbergの方がわずか2歳若いだけである。同年代の実力者に真正面からぶつかることはLjungberg自身の成長にとってもかけがえのない経験になるはずだ。the Arsenal wayの片鱗をみせて、そして久々の勝利を掴み取ってほしい。

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